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こころの研修会「自分らしく生きるために」〜精神障害者のリカバリー〜
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 2013年3月6日、伊勢崎市の精神障害者家族会のみなさまから依頼をいただき、「自分らしく生きるために」をテーマに講演を行いました。今回はその様子をお伝えします。  今回の講演では、華蔵寺クリニックのメンバー6人に協力してもらいました。お話する内容についても、みなから意見を募って決めています。「障害を持ちながらの回復とは、苦労の量と質が変わること」「自分なりの回復を語りたい」「残念ながら治っていないけど、そのままを語ろう」など、それぞれに話したいことが出てきます。
 「語る力」のあるメンバーが集まっているので、おおまかな方針を決めたら、あとはその場で感じたことを語ってもらうことになりました。

 当事者研究と自己病名

 はじめに、私たちが普段から取り組んでいる『当事者研究』の紹介を行いました。
当事者研究とは、精神障害の当事者のふだんの経験のなかから生まれた、自分を助け励ますためのプログラムです。「自分自身で、ともに」さまざまな生きづらさを研究し、「自分の苦労の主人公になる」ことを目指します。

 そして当事者研究の特徴のひとつが、自己病名です。
 自己病名とは、自分に起きている症状や苦労を、分かりやすくユーモアをもって表現したものです。主治医からもらった医学的病名に対して、当事者自身の実感に基づいた生活感あふれる病名のことをいいます。
 仲間とともに当事者研究をして自己病名をつけることで、自分の苦労を客観的に眺めることができ、自分が困っていることを伝える言葉を持つことができます。そしてなにより、病気のおかげで語り合いが生まれ、人とのつながりを取り戻すことにもなります。


みほさん研究発表

これまでに行った研究発表のなかから、今回はみほさんの『自閉と過眠の研究』を発表してもらいました。
 参加者の方にその場でアンケートをとってみると、過眠で苦労している方が何人も手をあげてくださいました。「自分だけではないのだなと思いました」という共感のコメントもいただきました。
 また、「過眠の苦労を克服されて、すばらしい」という感想について、みほさんは「決して克服はしていないんです、今も苦労しています」と正直に答えていました。みほさんの素直な情報公開に、メンバーや参加者からも暖かな笑いが生まれました。


トークセッション

今日のメインテーマである、
「障害を持ちながらハッピーに暮らすには?」 「精神障害を持ちながらの回復って何?」
という問いについて、さまざまな意見を語ってもらいました。
 共通していたのは「苦労がなくなるわけでなく、苦労の量や質が変わる」ということでした。それを象徴するのが、【苦労のピラミッド】です。

「病気の苦労がなくなったら、幸せな生活が待っているのでしょうか?」
「その後には、残念ながら現実の苦労が待っているのです」
 回復とは【苦労のピラミッド】を降りていくことに例えられます。ピラミッドを降りていくほどに苦労は広がっていきます。はたして病気が治ることは幸せなことなのでしょうか。私たちは「これからどんな苦労を選ぶか」を問われている存在であることを、この図は教えてくれています。

そんな「現実の苦労」と、華蔵寺クリニックのメンバーはどんな風につきあっているのでしょうか。

 回復のサイクルは弱さの情報公開から始まります。「自分だけだ」と思っていた苦労が、仲間と共通の苦労だと気付いたとき、私たちは安心感やつながりを感じます。そして安心してありのままの自分でいられることが、前向きに研究や実験をしてみようという姿勢に結びつくようです。

 華蔵寺クリニックのメンバーはそれぞれの体験や、回復の過程を語ってくれました。その語る姿勢に、「弱さでつながる」ということの意味が現れていたように感じます。参加された方々も、当事者の真剣な言葉に熱心に耳を傾けていたようでした。

 私たちは今後も講演などで、病気とともにある「自分らしい生き方」について語っていきたいと思います。このような場をいただくことができて、大変感謝しております。私たちの活動が当事者やご家族の方々の生きづらさの助けとして、すこしでも役に立つものであればいいなと願っております。
 

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