職場復帰プログラムの目的
デイケアとは、同じような悩みをもった人たちの中で、自分をしっかり見つめ、嫌な部分や弱点などをあるがままに言葉にし、話し合うことで、そのままの自分を認めてくれる仲間をつくっていく場所です。職場復帰プログラムでは、職場での人間関係の苦労などを安心してさらけ出し、本当の自分を表現することで急速に自己理解がすすみ、信じられないほど回復に向かいます。

華蔵寺クリニック
院長 阿部智

 うつにおちいるサラリーマンライフ
「現代はストレス社会。年齢や性別を問わず、過大なストレスから逃れることはとても難しい。これまで日本で軽視されてきた“心のケア”が、いまほど必要とされている時代はありません。通院患者の5割が[うつ病]をわずらい、さらにその半分は30〜40歳代のサラリーマンが占めています。社会規範がゆらぎ、リストラなどの厳しい現実にさらされているため、中年の患者数が激増しているのが現状です。」
 デイケアで、本来の自分を見つけ出してもらう
 


親しみやすい木造が地域になじむ『華蔵寺クリニック』は、精神科・心療内科の診療所。併設されたデイケアルームは、ストレス社会に生きる人たちの “心の”強い味方


デイケアルームのやさしい表情は、家庭にいるようにリラックスできると評判


床暖房や車いす対応のバリアフリー設計、パソコンなど充実のアメニティ。患者にやさしい気配りが随所にみられる

「患者さんのなかに、数年間休職し、社会復帰などとても考えられないような男性会社員がいました。本人はつねに自殺を匂わせていて、これ以上どうにも手がなくなったというとき、導入直後のデイケアをなにげなくすすめたのです。
その男性は、自分の弱みや悩みや醜さを安心してさらけ出し、本当の自分を表現したことで急速に自己理解が進み、信じられないほどの回復をみせました。そしてまもなく、危ぶまれていた職場復帰が可能になり、自殺願望も消え、なんと薬の投与もゼロになりました。これに自信を得て、“生き下手”な[うつ病]の人に、積極的にデイケアを勧めるようになりました。まだまだ実験的な段階かもしれません。しかし[統合失調症]などの深刻な病態にあるメンバーのなかに入って、社会的な常識に富んだ[うつ病]のサラリーマンが交流している姿は、情景として素晴らしく、また相互に非常によい影響を与え合い、よい効果を生んでいるのではないかと思います。」  
 さまざまな原因や要因 [うつ病]と[うつ状態]の違い
「サラリーマンには、山のようなストレスに囲まれて暮らしている人が大勢いる。
自分の意にそわない部署に異動された、上司や同僚と気が合わない、明らかに無理な仕事をさせられているのに周囲の理解が得られない、毎日の残業に加え土日も出勤しなければならない、家庭に目を向ける余裕がなく、家族と一緒に過ごす時間も少ない・・・などなど。話を聞けば聞くほど、これでは憂うつな状態になるのは無理はないと納得させられることは多いのです。しかし、これは専門的には反応性の[うつ状態]と呼び、本当の意味での[うつ病]とは区別されるものです。[うつ状態]の場合は、状況を改善することの方が重要なケースもあり、医療の対象にならないこともあります。」
しかし、概して周囲の環境や状況だけが要因というケースは少なく、もともと内因性の[うつ病]になりやすい素質を持った人が何らかのストレスにあい、[うつ状態]になることがほとんどである。彼らは気持ちを盛り返そうと無理をしているうちに、ますます悪化していくことになってしまうのですが、幸いにして、こうしたケースでは休息をとり、薬の投与を併用すれば、約7割は回復するといっていいでしょう。」  
自由に開かれたデイケアの入り口
人は生きている限り、さまざまなつらくて嫌な場面に遭遇せざるをえない。
「そんなとき、憂うつな気持ちにおちいるわけですが、さまざまな条件やパターンを経て、心やからだに症状があらわれ、病気に移行していくのです。しかし、症状があらわれても、とくに中堅サラリーマンは必死に勤め先に向かわなくてはなりません。その肩には社会的な責任や家族を養うという重責がずっしりとのしかかり、簡単に放棄するわけにはいかないからです。そんなある日、重責に耐えられなくなったとき、人は気がつくと心の病を悪化させています。それからは、家に閉じこもって昼夜逆転の生活を送ったり、自己評価を下げて自信を失い、語り合う家族や友を持てずに孤独な日々を過ごすという人も少なくありません。デイケアはこうした人たちにうってつけの場所なのです。」
『華蔵寺クリニック』では、患者や医者やスタッフが講師となる勉強会も開かれ、高校生から60歳までさまざまな患者が集っている(火曜の午前9時〜10時30分)。
「まずはここに来て、昼寝をするだけでもいい。カラオケを楽しむだけでもいい。気軽に遊びにくることから始めてほしいですね。あるがままの自分を認めることで、緩和していくケースが多いですから。再発する人もいますが、完治後も、この場所の雰囲気に包まれたくて、遊びにみえる人もいます。完治するには自分がどんな人生を生きたいのかという照準を明確にし、それに向かっていくことが大切なのです。」

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