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SSTステップアップ講座

開催日:2013年4月25日(木)
会 場:華蔵寺クリニック ファーブラ・ノヴァ

 この春、群馬県内の精神科デイケアを中心に研修の呼びかけを行い、SST(ソーシャルスキルトレーニング)についてスキルアップを目指す講座を開催しました。今回はその様子をご報告します。

 はじめに

 以前より華蔵寺クリニックでは、SST認定講師の土屋徹先生をお招きしてSSTを行ってきました。土屋先生のSSTは楽しく役立つプログラムとしてメンバーからも人気を集めています。スタッフも、メンバーとともにプログラムを体験しながら、土屋先生からSSTのエッセンスを教わっています。そのおかげで、日常のプログラムのひとつとして、また普段の関わりのなかでもSSTはデイケアに定着しています。

 「せっかくだから、自分たちだけでなく同じ地域で働く人達にも知ってもらいたい」「ともに学んで、成長していきたい」という思いから、今回の講座を企画しました。

 開催にあたって、参加者の方々に事前にアンケートをお願いしましたところ、「テーマの設定に苦労する」「進行や展開の仕方が難しい」「メンバーからの発言が少ない」「毎回、失敗した感じがある」「効率よくコンパクトにまとめるには」など、多くの相談を頂きました。また、これからSSTを取り入れていきたいという声もありました。

 そこで今回はSSTのはじめの一歩として、SSTの基礎についての講義と、基本訓練モデルによるスタッフSSTの実践を行いました。

午前:SST(ソーシャルスキルトレーニング)〜はじめの一歩〜

午前中はお茶を飲みながらの講義でした。たくさんの具体例や問いかけを交えながら、軽妙な語り口でSSTの基礎を教えていただきました。

SSTは、本人が生きていく力を身につけるための技法です。本人の希望を大切にして、その人の魅力や強さを引き出し、良いところを伸ばしていくことを目指す、希望指向の取り組みです。

そして、社会で生きていくためには、人とのやりとりや人間関係のための技能が大切です。ですからSSTでは、人付き合いの練習、コミュニケーションの練習をすることになります。

そういった社会技能は、本来だれもが学習して身につけていくものです。自然とスキルを身につけている人も、元はといえば生活の中で見たり聞いたりしながら学習してきたのです。ですから「できない」のではなく、「身についてない」だけ。「練習してみよう」という考え方が重要なのです。 『やってみて 行って聞かせて させてみて 褒めてやらねば人は動かじ』という山本五十六の言葉があります。これはSSTで言葉や立ち振る舞いを学習する手順そのままです。

そして経験を積み重ねることが、スキルを獲得するためには大切です。せっかくSSTで練習したことも、生活の中で使う機会がなかったり、ほめられることがなければ消去されてしまいます。練習したスキルが強化され般化するためには、周りの関わりが大切なのです。

精神科領域では、若いころからの病気のために人とのやりとりを学習する機会が少なかったり、病気の症状や薬の副作用のために受け止め方や伝え方に問題を抱えている場合があります。ですから、人付き合いのスキルを身につけるためのSSTが重要なプログラムとなります。

対人ストレスが増えたときでも病気の再発を防いで生活を続けていくためには、それに対処する技能を身につけておくことが有効です。また家族向けのSSTは、ストレスの少ない環境や家族のサポート態勢を整えることで本人の生活の安定につながります。

午後:基本訓練モデルによるスタッフSST

午後はSSTの基本訓練モデルのコツを教わり、グループに分かれてスタッフ同士でSSTの実践をしました。

SSTの進行役は、参加者に質問をしたり指示をしたりと、様々な言葉がけを行います。どんな言葉を使うとよい進行ができるのか、SSTのステップごとに具体的に教えていただきました。

その中で大切なのは「練習」という視点です。SST自体が練習をするプログラムですが、ウォーミングアップ・宿題報告・テーマ選び・場面設定・ロールプレイの各ステップにも、参加者にとって練習となることが沢山あります。

例えば、宿題報告は出来事をまとめて伝える練習になります。ウォーミングアップも、参加者の緊張をほぐすだけでなく、集中力を鍛えたりコミュニケーションの練習になります。「いまやっていることがどんな練習になっているか」「練習してもらうためにどうしたらいいか」を考えることで、どんな関わり方をするのが有効なのかが自ずと分かってきます。

そして、SSTは希望指向のプログラムですから、本人の希望を話してもらい、練習してもらうことが目的です。状況や苦労だけでなく「どんなことを練習したい?」「どんな風にしたい?」といった、本人のしたいことを聞くことが、目標を明らかにしてそれに近づいていくことにつながります。

ロールプレイの進行についても、リーダーの視線や立ち位置、言葉がけなどについて、それがどういう意味を持っているのか一つ一つ教えていただきました。
それを踏まえて、参加者の方に練習したいことを出してもらって、スタッフ同士でSSTを行いました。はじめてSSTのリーダーをするという方もいましたが、今日習ったことを元にして、どのグループも楽しくロールプレイまで実践することができました。

参加者の感想から
  • これまでSSTについて難しく考えていたところもあったが、日常生活の小さな出来事も訓練につながるのだと感じた
  • デイケアのスタッフ・メンバー全員で般化をはかることが間違いではなかったな、と思えた
  • 結構、皆同じようなことで悩むんだなと思った
  • 実践的で分かりやすかった
  • 裏付けを説明してもらえて良かった
  • ひとつひとつの動作の意味を再確認できた
  • 楽しく学べた

「楽しく学べることが、明日から、今からやってみようにつながるのだなと思います」という感想もありました。この講座自体が参加者の「SSTをやってみたい」という希望を引き出し、そのための練習ができる場になっているのだなと思いました。

土屋先生のSSTステップアップ講座は今後も継続して行います。年3回程度の開催を予定していますので、次回の予定が決まりましたらHP等でご案内させていただきます。

 

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