当事者主役の精神科医療
従来の精神科医療は、ともすれば当事者の希望がなおざりにされ、症状の改善だけにフォーカスを当てることが多くありました。最近では、SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング、共同意思決定)と言って、治療の過程におけるさまざまな決定を患者さんと医師が共同で行うことが重視されるようになりました。
当院では、SDMを治療の基盤としています。当事者自身が治療の主役になり、生活・人生の主役として、その人らしい生活・人生を送れるようになることを目指しています。患者さんと医師との双方向の対等な対話を重視し、当事者の自己決定を尊重します。つまずくことがあっても、苦労の経験を次に生かせるよう支援します。
当院ではこれまで15年にわたり、地域に密着した医療を提供してきました。小さなクリニックで、当院だけでできることに限界はありますが、必要に応じて関係機関と連携を取り、患者さん・ご家族の地域生活をサポートします。
当院では開業当時からデイケアを併設し、精神科リハビリテーションに力を入れてきました。社会に出る自信がない人、コミュニケーションが苦手な人、休職中の人などが、仲間を作り、ともに回復を目指す場です。
これまで多くのデイケア利用者が社会に巣立っていきました。安心して社会生活を継続できるように、週1回程度、働きながらデイケアを利用している人もいます。また、卒業後につまずいた時に、緊急避難場所として利用している人もいます。